【完】スキャンダル・ヒロイン
「ん~!本当に美味しい!朝から美味しいご飯を食べると仕事もやる気が出るわね」
「静綺ちゃんが来てくれて良かった。僕ら今までコンビニとかで済ませちゃってたからなぁー。
それにしても毎日献立考えるの大変じゃない?」
朝から嬉しい事を言ってくれる。そういう言葉を頂けるとやる気も出て来るっていうもんだ。
「全然です。それに学校では毎週実習やらで料理は作ってますし、元々料理を作るのは好きなんですよ」
小学校の頃から共働きだった両親。お母さんがシフト制の洋服屋さんで仕事をしていたから、帰って来る時間が9時を回る事はよくあった。
その頃から少しずつ家族のご飯を作るのは私の仕事になっていた。
料理をしている時間は気がまぎれる。全く苦痛にならないから、考えてみれば私にとってうってつけのバイトである。
キチンと栄養計算をして毎日健康に気を遣ったメニューにしていた。学校でしていた勉強がバイトで役に立つのも一石二鳥だ。
ふたりが出社した後に瑠璃さんと豊さんが部屋からやって来る。
ふたりはグリュッグエンターテイメントの所属タレントだから、起きる時間はまちまちだそうだ。けれど私が来てからは、朝ごはんを出来るだけ食べに来るようにしてくれている。
「どうして静綺ちゃんの作る卵焼きはこんなにふっわふわなんだろうー…。
瑠璃全然朝ご飯食べるタイプじゃないけど静綺ちゃんが来てからご飯の時間が楽しみになっちゃった~」
「そうっすね。瑠璃さんはいっつも昼まで寝てましたもんね」
「むぅ…。豊に言われたくないよッ。
豊だって毎日夜更かししてるじゃんかね」