【完】スキャンダル・ヒロイン
「僕はネタ作りをしてるんです。瑠璃さんのように夜中までユーチューブを見ている訳じゃありません」
「何よぉ~…瑠璃だって可愛い子のユーチューブ見て日々仕事の勉強してるんですッ」
ふたりとも売れないグラビアアイドルと売れないお笑い芸人だと言っていた。
正直テレビでは全くお見掛けしないけれど、それでもテレビ以外の仕事が多数あるらしい。全くお金にならないとぼやいていたけれど。
なので売れないタレントであってもほぼ毎日のようにそれぞれの仕事現場へ向かう。芸能界って収入も安定しないっていうし、大変だ。けれど私のような一般人じゃ到底見る事の出来ない大きな夢を追いかけている姿は、輝いて見えたし尊敬出来る。
「じゃー静綺ちゃん行ってくるねぇ!」
瑠璃さんは今日も元気いっぱい。元気じゃない日なんてないんじゃないかっていうくらいパワフルな人。テレビで見たら元気出そうなのに、それでもテレビに出演するのが難しいというのはやっぱり芸能界って大変なお仕事だ。
大きく手を振る瑠璃さんの横で豊さんがぺこりと頭を下げる。
「豊さんは今日舞台に出るんでしょ?」
「…舞台つっても大きな番組の前説みたいな感じですけど…。テレビにもちっとも映らないし」
「もぉー豊は暗いなぁー。でもね、静綺ちゃん豊は舞台上に立つと人が変わったみたいに明るくなるの!変だよね?」
「瑠璃さんうるさいです…」