【完】スキャンダル・ヒロイン
「静綺もショックだとは思うけど、しおりを責めるのはやめろよ」と。
正に寝耳に水とはこの事で、譲の言っている事を理解するのには時間がかかった。
話を詳しく聞いてみると、真相はこうだった。
しおりは私へ譲の事は良いと思うし、いずれ付き合おうかなと思っている。と言っていた。
けれど実は私が参加しなかったイベントでしおりとたっくんは密かに連絡先を交換していて、たっくんはしおりに告白した、との事。
理解が追い付かなかった。私の知らない所でふたりの物語が勝手に幕を開けていて、そして私の気持ちなんて置き去りのままふたりは付き合い始めた。
私はしおりからたっくんが好きだなんて話は聞いてなかったし、寧ろ応援してくれていた。それにたっくんは私に思わせぶりな態度ばかり取っていた。
世界中から裏切られた気分でいっぱいだった。
そして先程しおりをカフェへ呼び出して、彼女の後押しをした。
疑問は残るばかりだったが…。しおりは何故良いと言っていた譲ではなく、わざわざ私の好きな人であるたっくんを選んだのだろう。
何を疑問に思おうが、しおりは譲とたっくんから好かれたモテ女で、私が誰からも好かれなかった非モテ女だという事実は変わらないのだが。
「どうしてー…私ってこんなにモテないんだろう。ブスだから?!
ねぇりっちゃん、私整形した方がいいのかな?!」
「静綺はブスじゃないよ…」
「そんな気を遣ってくれなくって結構よ。だって結局譲もたっくんも好きになったのはしおりじゃんかー。
そりゃーしおりは可愛いけどさぁーこんなの惨めだよぉ~……」