この恋シークレット   ~アイドルと運命の出逢いをしました~
そして、いよいよ社長と対面する。

大手芸能事務所なだけあり立派な建物を構え、中にはレッスンスタジオからレコーディングスタジオまで設備が整っている。

社長室は、事務所の最上階。フカフカの絨毯の敷かれた廊下に、見るからに重厚な扉。蒼も数回しか訪れた事のない空間に緊張が増す。

マネージャーの原田の付添の元、扉をノックする。
『コンコン』

中からは女性の「はい」と返事の後、開く扉。社長秘書が迎えてくれた。

「おはようございます。原田です」

「おはようございます。社長がお待ちです」扉の中へと促される。

蒼は未だに違和感があるが、芸能界はどの時間帯でも挨拶は『おはようございます』だ。

社長は、奥のデスクで電話中だった。邪魔をしないように秘書に促されたソファに座り、社長を待つ。その間に、秘書がコーヒーを出してくれた。



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