この恋シークレット   ~アイドルと運命の出逢いをしました~
「すまない。待たせた」と電話が終わった社長がふたりの前のソファに座る。

社長は、芸能界から財界まで顔が広く、時代に合わせて長年経営をし、ここまで事務所を大きく安定させた業界の重鎮だ。

70歳になった今でも、小柄だが背筋がピンと伸び、年齢を感じさせないオーラがある。

「お時間をいただきありがとうございます」と蒼が切り出す。

「ああ、構わないよ。君達の活躍は日々報告を受けている。人気絶頂になった今でも、傲る事なく頑張っている様だね」

「ありがとうございます。日々勉強だと思って頑張っています」

「それは何よりだ。事故の事も聞いた。体は大丈夫か?」

「はい。幸い、居合わせた女性に助けてもらい無事でした。その事でお話が…」

「何だね?」

「助けていただいた女性に直接会ってお礼が言いたいです」

「あちらは、蒼に会いたいと言っては来ていないと聞いているが?」と原田に確認するような目線を向ける社長。

「はい。こちらから、警察署に同行するか聞きましたが、それすら断られました」

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