天使になりたかった悪魔
「いいえ。あなたも、もう1人のあなたも、きっと後悔するわ。」
天使は、真っ直ぐに俺を見て言った。
「なぜ、そう言いきれる?」
「意思が宿る者はみな、自分には無いものを求めるからよ。
自分が持っていなくて、誰かが持っていれば、それを求めるわ。
そして、手に入れた後に気づくの。手にしてみれば、たいしたものではなかったと…。」
言い終えた天使の目には涙が溢れ、頬を伝い、流れ落ちていた。