腹黒王子に逆らうな!
女は苦手だ。

買い物は長いし、オチの無い話を延々と続けるし、外面だけ良くて裏は最悪。

二人の姉をもってして、体験してきた。


『亜瑠〜、買い過ぎたから荷物持ってー』

『てかうちの彼氏マジ最悪、1円まできっちり割り勘とかさぁ』

『プレゼントに自作のラブソングはナイわぁ〜』

荷物持ちに付き合った帰りには愚痴(ぐち)愚痴(ぐち)愚痴(ぐち)

二人の姉に振り回された俺は、いつしか女が信用できなくなっていた。

だから俺も、本当は口悪くて女嫌いな性格を()り替えて、爽やかな笑顔を振りまく愛想のいいキャラで女をだましてやることにした。

そしてそれに引っかかる女を見て(たの)しむ、最低な男になった。

いつしか爽やかキャラが定着し、俺は本当の自分を出せなくなってしまっていた。

笑顔を絶やさなければならない首輪が息苦しい。

これも天罰なんだと、受け入れるしか無かった。
< 20 / 33 >

この作品をシェア

pagetop