腹黒王子に逆らうな!
偶然にも好きな作家が同じだと言う彼女の名前を尋ねると、柔らかく微笑んで『菊島詩央』と答えた。
「菊島詩央……か」
確か学年ごとに決められたネクタイの色からして、同じ高3のはずだ。
俺はスマホを取り出すと、マネージャーに連絡した。
「来週からのスケジュール決まってないですよね? これから学業に専念したいので、少し減らす方針でいきたいんですけど」
幸い直近の仕事がないのと、前々から学校の心配をしていたマネージャーの理解もあって、すぐに事は決まった。
「別に……あいつを追ってるわけじゃねぇ」
少し、芸能界から離れたかっただけだ。