腹黒王子に逆らうな!
「あ、菊島さん」

梅永君はこちらに気づいたみたいで、軽く手を振って声をかけた。

「えっ、あ……」

周りの女子生徒の視線が突き刺さって痛い……!

「なんで菊島さん?」

「どーゆー関係?」

コソコソ話してるつもりだろうけど、全部丸聞こえだよ……。

「ごめんね、菊島さん席に座れないみたいだから、少し退いてくれるかな?」

「はっ、はい……♡」

すごい……梅永君が注意しただけで、女の子たちはすぐに私の席から離れた。

モーセかよ。

「同じ学年だとは思っていたけど、まさか隣の席とは。よろしくね」

多分、梅永君のスマイルが威圧的に見えてるのは私だけだ。

「ははっ……」

乾いた笑いしか出ない。

学校に登校しただけで記者が校門に押し寄せ、女の子が一斉に騒ぎ立てるとかヤバすぎでしょ梅永君!

せっかく平凡な生活を送れてたのに無駄に目立ってるよ……。
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