腹黒王子に逆らうな!
「……面白かった?」

何を言われるか心配で、心臓が暴れてる。

期待してたほどじゃなかったとか、読みづらいとか、つまらないとか……。

けど梅永君は息を整えると、すぐ興奮した顔で

「あぁ。アラタの戦略でどんでん返しするとこ、マジすげぇスカッとする。話は重めだけどキャラがぶっ飛んでるから読んでて楽しい。クソ、一冊で綺麗に纏まってはいるけど物足りねぇ。続編かスピンオフ出ねぇかな」

って早口で言った。

「そ、そうなんだ……アラタいいよね、湾岸作戦の時とか」

「終盤のとこだろ? 俺もそこ気に入ってる」

ファンレターとかメールで面白いですって言ってくれるのを見るとすごく心が温まるけど、やっぱり直接言われるとすごい嬉しい。

梅永君、楽しくて仕方ないって顔してるもん。

作者だって伝えたらどんな顔するかな。

ダメダメ、バレたら学校に言われるかもしれないし。

あぁ、自分が作者だって言えないのがもどかしい!

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