腹黒王子に逆らうな!
「詩央〜」
「あ、愛美!」
後ろから声をかけてきたのは、1年からの親友の泉愛美。
スラッと背が高くてスタイルが良くて、演劇部期待のホープなんて呼ばれてる。
この学校で私がラノベ作家だって知ってる唯一の友達だ。
「締切間に合ったんだよね? 放課後ドーナツ食べ行かない?」
「あぁーっ、ごめん出版社に用事あるんだ!」
カロリー管理に気を遣ってる愛美が誘ってくれることなんて滅多にないけど、今日はどうしても駄目だ。
普段はビデオ通話で打ち合わせだけど、今回は直接大事な話があるとかで、出版社に呼び出されている。
もしかして打ち切りだったりして……。
「そっか。また予定が合えば行こ!」
「うん」
そんなことを約束している内にホームルームが終了し、授業に入る。
「じゃあ教科書20の続きからー……」
なんとか欠伸を噛み殺しながら、退屈な一日を過ごした。