腹黒王子に逆らうな!
───放課後。


雑誌や小説はもちろん、漫画や児童書まで幅広い書籍を手がける大手出版社"明友(めいゆう)社"。

普段の打ち合わせはチャットなどで済ませてしまうので、私も数回程度しか来たことがない。

「おぉいたいた、詩島(しじま)さん」
(やなぎ)さん!」

ビルに入ってすぐ、柳さんが出迎えてくれた。

やっぱりペンネームで呼ばれるのはまだ落ち着かないな……。

「じゃあ早速(さっそく)だけど談話(だんわ)室行きましょうか」
「あ、はい」

柳さんに連れられて、談話室へ入る。

打ち切りの話だったらどうしよう!?

でもこの前のアンケートの結果そんなに悪くないし、そこそこ好評だったのに……!?

やっぱ恋愛要素書けない作家は用無し〜!?

「打ち切りじゃないから安心して」
「えっ!?」

柳さんは苦笑いを浮かべた。
そんなに私分かりやすい顔してた!?

「とりあえずこれ、今日発売の新刊の献本ね」

「あっ、はい。うわぁ相変わらず表紙可愛いな!」

先月描き終えた最新刊を受け取ると、鞄に入れた。

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