愛というものより~由実ちゃんと昌くん~
「いいのに、良くあることだし…」

なんて茉莉ちゃんはボソッと言うけど、いいはずないのに…

「お母さんいたらこんな感じなのかな?由実ちゃんありがとう。じゃあスープで。」

私が引かなかったから茉莉ちゃんが困ったようにそう言った。
私は泣いてしまいそうになる。
茉莉ちゃんは両親がいなくて施設で育ったらしいと以前同じバイトの美代さんが言っていたのを思い出した。

私はとりあえず店内へ急いで食べれそうなものと、カップスープを買ってお湯を入れてまた控え室へ戻った。

スープを渡して、私は昌くんにメールを送った。
すごく腹が立ってて、昌くんが浮気したわけではないけど感情のまま送ってしまった…。

『無事に茉莉ちゃんと会えたよ。何でこんな事になってるの?ご飯も食べてなくて昨日は眠れてもいないと思う。こんなに可愛い子を裏切るなんて許さない!とりあえず茉莉ちゃんはフラフラだし、明日も朝から一緒のシフトだから私の家に連れて帰る!携帯は家に忘れてきたみたいだから連絡は取れません。』

そう送って少し後悔した…
あぁ、怒る相手間違えてるし…でも茉莉ちゃんがこんなにもフラフラになるなんて…
クリスマスの前のファミレスを思い出すと胸が痛かった。きっと怖い思いをしたんだろうに、それでも彼氏が好きだからって勇気を出して彼氏と…
なのに、出来たらそれで終わりなの?
だからチャラチャラした人は……そんなこと考えてたら昌くんの顔が浮かぶ。
もう自分の気持ちにも踏ん切りをつけよう。そもそも彼はアイドルと同じ、眺めて楽しむ人なんだ。
< 20 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop