愛というものより~由実ちゃんと昌くん~
「だから、お風呂に入ってるの。今日は無理よ。茉莉ちゃんかなりフラフラだし、あなたと話したらまた疲れるだけでしょ?倒れたらどうするのよ?こんな風にしたのはあなたなんだから一晩反省して!」

私が怒っていうと、たぶん彼氏くんは泣いていた。
それからすぐに後ろで聞こえていた口論がやんだ。

『もしもし?』

いきなり昌くんが出るからびっくりして携帯を落としそうになる。

「もしもし」

なんて言っていいかわからずオウム返しみたいになった。

『由実か。茉莉ちゃんは?』

あきらかに不機嫌そうな声だけど、由実って呼ばれたのにまた動揺してしまう。

「お風呂に入ってる。今日はもうそっとしてあげて。茉莉ちゃん何も悪いことしてないのに可哀想じゃない。そっちに非があるんでしょ?」

『あ?茉莉ちゃんと話をさせろっつってんだよ。うるせーな。大吾ははめられたんだよ。』

やや怒鳴り気味で言われる。きっと今まで口論してたのは昌くんなんだろ。
でも私には用はないみたいな扱いに腹が立った。

「だから何?無理って言ってるじゃない。今夜は無理。」

『だから、大吾と付き合いたいやつがわざとはめたんだよ。』

「じゃあ、はめられたからって何してもいいの?」

『大吾は何もしてねーし、反省してるだろ。』

「ふざけないでよ。だからってそれで昨日の夜、連絡も取れずに一人で過ごした茉莉ちゃんの気持ちがなかったことにはならないでしょ。少しは頭を冷やして。」

怒りに任せて言うだけ言って電話を切ってしまった…。
視線を感じて見てみると茉莉ちゃんと目が合う。ヤバい、どこから聞かれてたんだろう?
< 24 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop