愛というものより~由実ちゃんと昌くん~
少し考えたけど、今彼氏くんはどう思って過ごしているかだけでもわかればちょっと考え方も変わるかなって思い、

「う~ん、それを考えるのはまだ早いよ。本当は教えるつもりなかったんだけど、ちょっとこっちに来て。」

そういって茉莉ちゃんを連れてベランダに出た。
きっと『下』ってこの前送ってくれた時に見守っていてくれたベランダの下だって思う。
私は「しー」って人差し指を口元にあてて、そっと下を覗くそぶりをした。
すると茉莉ちゃんも私のまねをして下をそっと見下ろしていた。
いたっ!あれ?でもいるのは彼氏くんだけだった。昌くんは?
そう思って見渡そうとした時だった、

「おいっ!お前、いい加減にしろよっ!」

別の方向から昌くんの声がした。心臓が口から飛び出そうなくらい驚いたが負けてはいられない。

「近所迷惑!早く帰って。今日はなんて言われても茉莉ちゃんは渡しません。行こう。」

私はもはや何と戦っているのだろう?
茉莉ちゃんの腕を引いて部屋の中へ戻る。戻っている時に茉莉ちゃんの彼氏くんの声が聞こえた。私にはなんて言っているか聞き取れなかったけど茉莉ちゃんには伝わっているみたいだった。

「ごめんね、茉莉ちゃんにとっては大吾くんのところに帰るのが一番いいのかもしれないけど今日一日は反省するべきだと思うから。昨日の夜茉莉ちゃんは一人で泣いていたんだから。」

私は部屋に戻ると、茉莉ちゃんに謝った。自分でももう何がいいとかわからなくなっていた。
ただ、昌くんがすごく怒っていたのだけはわかった。
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