愛というものより~由実ちゃんと昌くん~
誰でもいいなら
食べ終わると、本当に彼氏くんが一人でおごってくれた。
昌くんにも非があったから一緒に謝りに来たんじゃないの?って思ったけど何食わぬ顔で外に出て行っていた。

「茉莉ちゃん、本当にごめんな。俺もあいつらとはもう手を切るし、迷惑かけないようにするから。大吾のことよろしくな。あんな大吾初めてみたよ。茉莉ちゃんのこと本気で好きなんだ。」

会計をしている彼氏くんを待っている間に外で改めて昌くんは茉莉ちゃんに謝っていた。

「うん、ありがとう。そして、昨日の夜寒いのに大吾に付き合ってくれてありがとう。昌くんがついててくれて良かった。」

「あ、いやぁ、まぁ、寒い中待たされたのはこいつのせいだしなっ。」

そう言って私の方を指さして睨むから私も睨み返して、その指を払った。
悪かったわね。本当に余計なお世話だった感は自分が一番感じてるわよ!
それから茉莉ちゃんは彼氏くんとバスで帰って行った。

「じゃあね。」

私は昌くんにそう言うと自分の家へと歩きだした。

「待てよ。送るよ。」

昌くんは私の腕を掴んで呼び止める。そんなことですら私の心は反応する。

「いいわよ。そんな遅い時間でもないし、近いの知ってるでしょ。私のせいで二日間も寒い思いさせても悪いし。昨日は余計な事して悪かったわ。じゃあね。」

私は掴かんでいる腕を軽く押しのけてまた自分の家へ歩き出した。
何だか泣きそうだったから早く帰りたかった。
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