愛というものより~由実ちゃんと昌くん~
「うわっ、ピンク…」

部屋に入るなりそう一言…。

「嫌なら帰って。昨日茉莉ちゃんは感動してくれたのに。」

私の声が聞こえてないのか私を追い越して部屋に入ると真ん中のローテーブルの前に座った。

「その面倒くさくなると無視する癖やめたほうがいいわよ。余計にムカつくから。」

「よくわかってんじゃん。お前が面倒くさいこといわなきゃいいんだよ。」

私の家なんですけど。その俺様発言!

「本当にお茶飲みたいの?」

私はキッチンに行き、冷蔵庫を開けると聞いてみる。
と言ってもあるものは水とビールと牛乳とあとはココアくらいだった。
ふっと視界が暗くなって見上げると上から昌くんも冷蔵庫をのぞき込んでた。
近いから。一気に心臓は速く打ち始める。

「ビールあるじゃん。」

「えっ?飲むの?」

「ダメなら水。」

「ダメって言うか…。」

「お前意識しすぎ。俺も誰彼構わず襲ったりしねぇよ。」

顔が赤くなるのがわかる。そんなはっきり言わなくても。
私はビール2本とおつまみになりそうなポテチを持って部屋に行く。
先に部屋に戻っていた昌くんは自分の家かのようにくつろいでいた。

「ムカつく。」

そう言いながらビールを差し出す。
鼻で笑ってそれを受け取り、いい音を立てて缶を開けると私の前に置き、私の手の中のもう一本を取るとそれも開けた。
私の前に置いた缶にカツンと自分の缶を当てるとグイっと飲んだ。
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