愛というものより~由実ちゃんと昌くん~
交代でシャワーを浴びて出てくるとベッドでTシャツとパンツだけ履いて寝息をたてて眠っていた。
ベッドの横に行き、寝顔を眺める。寝ててもかっこいいとかムカつく。
もしかすると昌くんも昨日の夜はあまり眠れてなかったのかも。
面倒くさがりなようで面倒見が良くて友達を大切にするところはやっぱりかっこいい。茉莉ちゃんのことも大切に思ってるんだろうな。私への扱いとの差がすごかったもんなぁ。
私なんて誰でもいいうちの一人だもんな。
自虐的に考えてしまい涙が出る。

考えたって仕方がない。早く寝よ。
下に散らばった服を簡単に畳んで置くと、電気を消してベッドに潜り込んだ。
セミダブルのベッドは茉莉ちゃんと寝たときより狭く感じた。
眠ってるはずなのに私が横に寝ると自分に引き寄せ、抱きしめられる。
少し動揺したけど、昌くんの腕の中は心地よく暖かくて、心臓の音が子守歌のようですぐに眠れたと思う。

朝、目が覚めるともう昌くんはいなくて、畳んでおいた服もなかった。置き手紙も探してみたけどなくて、携帯にもメールはなかった。
そんなものかって思うと胸の中が寒かった。
テーブルの上にはビールの缶が2本と、食べかけのポテチが置かれたままだった。
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