愛というものより~由実ちゃんと昌くん~
でも意外にも昌くんは面倒くさいと無視せずに私を後ろからぎゅーって抱きしめて後頭部にキスをする。

「由実だって連絡しなかっただろ?現場が遠くて忙しかったんだよ。」

なんて言い訳みたいな事を言っていた。
身体の関係だけでもこんなに距離が近くなるのかな?
単純な私はこんな事でまた胸が高鳴る。でも一方では心がチクチク痛んでいた。

「座ってて、目玉焼きでいい?堅め?半熟?」

「堅め、2個」

なんと贅沢なっ!

「前もって言ってくれてたら何かあるのに。」

私は文句いいながら目玉焼きとベーコンを持って行った。
冷凍していたご飯をレンジで解凍し、作り置きのきんぴらゴボーとビールをテーブルに運ぶ。
相変わらずのくつろぎっぷりで笑いが出る。

「おっ、気が利くな。」

喜んでビールをまず手に取る。
前のように私のも開けてくれ、カツンと当てるとぐいっと飲んだ。

「ねぇ、どこの家に行っても家主かのようにくつろぐの?」

「なんだよ?嫌み?」

「嫌みが2割とあとは純粋な疑問。」

「ハハッ、お前面白いな、くつろがねーってか人の家に上がらねーし。」

「えっ?なんで?」

うちにはあがってるじゃん…昌くんはどこまでが冗談で、どこから信じていいのかが不明だ。

「面倒くせーから。」
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