愛というものより~由実ちゃんと昌くん~
茉莉ちゃんは驚いたあと、泣きそうな顔に変わった。
きっと私と離れてしまうことがさみしいと思ってくれてるんだと思う。

「そんな顔しないで。引っ越すって言ったってどちらかというと茉莉ちゃんの家の方にだよ。ここから茉莉ちゃんの家を通り越して、もう一つ駅を行ったところ。電車でいえばお隣の駅だし。」

就職先はここからだと少し離れてて、茉莉ちゃんの家のほうが近い。

「よかった。もう会えなくなるのかと思った。」

「ハハハッ、私の片思いじゃなくて良かった。私ってグイグイいくタイプだから茉莉ちゃん迷惑してるんじゃないかって心配してたの。」

本当に茉莉ちゃんと出会えて良かったって思う。
きっとこんなにいい子はそうそう出会えることはないだろう。

「そんなこと、私由実ちゃんのこと大好きなのに。この前も私のこと助けてくれたし、でも私って今まで友達もいなかったからどうしていいかわからないの。由実ちゃんの助けになりたいのに…」

今まで友達がいなかったことが不思議だ。
みんななんでこんなに優しくてかわいい子をほっておいたんだろう?
そして、友達として私を認定してくれたのが不思議だった。タイプとしてはだいぶ違うのに。
こんな私の助けになりたいなんて、バカなことを始めたのは自分自身なのに…
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