愛というものより~由実ちゃんと昌くん~
わたしは、チョコムースのレシピをメモに写すと、電動泡立て器も一緒に紙袋に入れて渡した。

「生クリームを素手で泡立てるのは素人にはむずかしいもんね。良かったら使って。」

って言うと、こんなものがあるのかって感動していた。

それからは、もう夜も遅くなったので二人でベッドに入った。
それからもウトウトしながら私たちはおしゃべりをしていたら、二人の携帯が同時に鳴った。
茉莉ちゃんはメールっぽかったけど、私は昌くんからの着信だった。
私はベッドから出ると、キッチンへ出て電話を取った。

「もしもし」

『今終わった。今から行く』

「無理。今茉莉ちゃんがお泊りに来てるから。」

『じゃあ大吾連れて行くよ。一緒に帰れればあいつも喜ぶだろ。』

「え?何言ってるの?馬鹿じゃないの。今夜私は茉莉ちゃんと一緒に寝たいの。大人しく大吾くんと帰ったらいいじゃない。」

『まじか、やりたい気分だったのに…どうすっかなぁ。』

「あっそ、じゃあだれか他を当たって。おやすみ。」

『はっ?お前っふざけんなよ!』

昌くんは何か言ってたけど腹が立って途中で切ってやった。
なによ、やりたい気分って…
目に涙が浮かんでくるのを腕でこすり、ベッドへ戻る。
茉莉ちゃんは私が泣いているのに気づいて心配そうな顔をしていた。

「もうどうでも良くなって他を当たってって言っちゃった。もしかしたら今頃別の子に連絡してるかも。」

そう言って私は茉莉ちゃんにくっついてこっそり泣いた。
< 61 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop