愛というものより~由実ちゃんと昌くん~
「お前に付き合って話をしてたら朝になりそうだな。茉莉ちゃんは忙しいんだからほどほどにしとけよ。」

「フフッ、茉莉ちゃんと話すっていうよりか私が一人で話してるのよ。でもね、茉莉ちゃん楽しそうに聞いてくれるからたのしいの。大吾くんが茉莉ちゃんを選んだ理由わかる。」

呆れた顔をして私の話を聞いてた昌くんは私の頭をなでた。
その視線は今まで感じていたのよりもずっと優しく感じた。

「さみぃから帰るぞ。」

そう言って私の手を取ると、指を絡めるように握って駅へ向かった。

「ねぇ、昌くんはアイス食べた時って言ってたけどね、私なんてもっと前から昌くんのこと見てたんだよ。」

「知ってる。」

「えっ?知ってるって何を?」

「コンビニにお前がいたら必ず俺を見てただろ?初めは万引きでも疑われてるのかと思ったけどそうじゃなさそうだったしな。」

そんなに見てたかな?

「恥ずかしい。でも昌くんは私のこと見向きもしなかった気がする。」

「お前のガン見は見なくてもわかるよ。あの日、アイス食ったときも見てたよな?」

「あれは…今まで見てるだけの人が隣でアイスを食べてるのを不思議に感じてたの。」

「なんだよ、それ。」

駅に着いて切符を買ってホームへ行くと、タイミング良く電車がきた。
電車の中は暖かくて心地よかった。
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