愛というものより~由実ちゃんと昌くん~
「昌くんって甘いものすきだよね。」

「あぁ、辛い物より好きかな。いっつも大吾にうげって言われてる。あいつ甘いもの全然だから。」

「えっ?でも茉莉ちゃんとケーキ食べたり、今日もきっと茉莉ちゃんの手作りチョコケーキ食べてるよ?」

「ハハッ、あいつかっこつけて何も言わないから。でもそれも幸せだろうからいいんだよそれで。フレンチトーストも食うって言ってたもんな。」

そういって笑いながらフレンチトーストを食べていた。
食べてる昌くんは少し可愛くなるからつい見とれてしまう。
私の視線に気づいて少し呆れたような顔をして、ひとつフォークに刺すと私の口の前に持ってきた。
私は条件反射のようにあむっと食べた。

「あの時と一緒だな。こういうのもいいもんだな。旨いよ。」

そう言ってまた食べ始めた。
誰かと分け合うことも食べかけたものを食べるのも嫌だって言ってたのに。
私だけ許されることがうれしくてたまらなかった。
食べ終わると昌くんはビールを飲みだした。よく太らないものだ。相変わらず筋肉はたくましかった。
私もお風呂に入ると、一緒にベッドに入った。
てっきりそういうこともするのかと思ったのにただ後ろから抱きしめられただけだった。

「しないの?」

「あぁ、別にする目的で付き合ってるわけじゃねーからな。」

思わず吹き出してしまった。私の言ったことを気にしてくれてたんだ。

「我慢できたんだね。」

「お前には我慢させられっぱなしだろ。今更いいよ。」

「ハハッ、少し残念だけどお休みなさぁい。」

「お前!明日はおぼえてろよ。」

そう言ってその日は本当に抱きしめられて眠った。
昌くんなりの優しさで、私を大切にしようとしてくれているんだって思うと嬉しかった。私もこの人を大切にしたいと思う。
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