もう二度ときみに恋はしない
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「まあ二見そういうとこあるよね」
「ねーわ、黒瀬は私のことなんか言うほど知らないでしょ」
「断言できる?」
「できない」
関東に帰ってきてすぐ黒瀬に会いに行った。
彼氏には「もう好きじゃなくなった」とだけ言って
半ば無理やり別れた。
悪いことをしたとは、思う。いちおう。
ただそれ以上に私の中での青井の価値っていうのは
重たかったんだなと思うと間違ったとは思わなかった。
「よかった、別れて。青井ともワンナイト止まりだし」
「人の不幸をなんだと」
「だって二見鈍いじゃん」
「はあ?」
黒瀬はなんでも知ってると思ってた。
それは私に対してだけじゃないとも思ってた。
「どうして俺が二見のこと好きじゃないって思ってたの?」
*