もう二度ときみに恋はしない


*


「そうだ、黒瀬はどこ行くって?」

「なんで黒瀬?」

「仲いいじゃん」


 黒瀬も小学校から同じだったけど、実は中学にあがるまであまり話したことがなかった。

 同じクラスで、席が隣で、弓道部だった。変な奴。

 居眠りするクラスメイトのグラフを作ったり、私の席に平然と教科書を置いたり。

 それから、本は、たしかによく読んでた。

 図書室利用で、年間多読賞を表彰するのが年に一回あったけど私はいつも2位だった。


「また俺の勝ち」


 そう憎たらしく笑うのだ、黒瀬のやつ。


*
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