完璧な彼が初恋の彼女を手に入れる5つの条件
「結城はさ、モテるくせに特定の彼女とか作らないの?」
この日も生徒会室で黙々と冊子作りを手伝っていたのだが、ふと疑問が湧いてきた。
プリントを一冊づつ揃えて渡すと彼は受け取り大型のステープラーで閉じる。
その繰り返しの単純な作業だ。
隣で作業を続ける彼の横顔はやはり整っている。サラサラの黒髪に黒く綺麗な目は二重で横から見ると睫毛の長さが良く分かる。
見た目も頭も人当たりも良い彼はかなりモテる。間違いなく学校一だろう。自分に手伝わせなくても彼女を作って、放課後デートよろしくふたりで作業すればいいのに。
「……そういう言い方すると俺が不特定の女子に声かけてるみたいだろ」
「確かに、結城は追いかけるより女の子に追いかけられてるイメージだね。この贅沢者」
「好きでもない女の子に追いかけられても嬉しくないよ」
「ふーん、そんなもんかね」
確かに告白はしょっちゅうされているが、全て丁重に断っているという噂を聞いたことがある。きっと理想が高いんだろうな、と思う。
「……本間はどうなんだ?」
都合が悪くなったのか急に桜衣に話の水を向けてくる。
「お前も好きな奴とかいないの?恋愛に興味ないって言ってるらしいけど」
「あー……」
確かに、女子の大好きな恋バナに巻き込まれた時も、男子にわかりやすくアプローチされた時も恋愛には興味ないことを公言していた。
「私、実の所この先ずっと、恋愛とか結婚はする気にならないと思うんだよね」
「……え、なんで?」
ステープラーに体重をかけようとした状態のまま彼は固まった。