山神あやかし保育園〜天狗様の溺愛からは逃げられません!〜
 鬼といえば虎柄のパンツというイメージしかないのぞみからしたら、彼の出で立ちは"意外"の一言だが、よく考えてみれば鬼一家は子どもも両親も皆いい服を着ている。
 一方で、若い鬼は飛びつく子どもたちを軽々と抱き上げている。見た目はすらりとした今時の若者風でもやはり鬼は力持ちだと感心しながらのぞみは微笑んだ。
「おかえりなさい。今日も、みんな良い子でしたよ。少し雨になりそうでしたから中で遊んだんですが、私の掃除を手伝ってくれたりして…ふふ、廊下を雑巾がけで競争したりしました」
 一平と呼ばれたその兄が声につられるようにのぞみを見て、声をあげた。
「君がのぞ先生か!弟たちから話は聞いてるよ。やぁ、本当に可愛いなぁ!」
「え?…は?」
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