かりそめお見合い事情~身代わりのはずが、艶夜に心も体も奪われました~
俺の返事を聞き、立花専務がホッとしたように相好を崩す。
「そうか……いや、いきなりこんなことを頼んでしまってすまない。引き受けてくれてありがとう」
「いえ、こちらこそ。光栄なお話ありがとうございます」
あくまで笑顔のまま俺が言ったタイミングで、注文のカツ丼がやってきた。
俺が食べ始めてすぐ、立花専務は天ぷらうどんを完食したようだ。けれども専務は席を立つことなく、その場に座り続けている。
「よし、では、見合いの日程や場所はこちらで調整して……ああそうだ。とりあえず、顔だけでも見てもらった方がいいかな」
「こちらは気にせず食べて欲しい」と言われ食事を進めていたが、どこか浮き足立った様子の立花専務にスマートフォンのディスプレイを向けられてさすがに箸を止めた。
「姉のことはと、妹のくれはだ。双子だからよく似ているだろう?」
……双子?
あまり身近に聞かないその単語に、俄然興味がわいて画面を覗き込む。
映し出されていたのは、1枚の写真だ。親戚同士の集まりだろうか。どこか料亭や旅館のような和室で、10名ほどが前後2列に並んで写っている。
「……うーん?」
つい、そんな声を漏らしてしまう。
無理もない。人物ひとりひとりの顔があまり大きく表示されていないし、しかも少しピントがずれている。
このふたりかな?というのは背格好でなんとなく察せたが、肝心の顔立ちはよくわからないままだ。
「そうか……いや、いきなりこんなことを頼んでしまってすまない。引き受けてくれてありがとう」
「いえ、こちらこそ。光栄なお話ありがとうございます」
あくまで笑顔のまま俺が言ったタイミングで、注文のカツ丼がやってきた。
俺が食べ始めてすぐ、立花専務は天ぷらうどんを完食したようだ。けれども専務は席を立つことなく、その場に座り続けている。
「よし、では、見合いの日程や場所はこちらで調整して……ああそうだ。とりあえず、顔だけでも見てもらった方がいいかな」
「こちらは気にせず食べて欲しい」と言われ食事を進めていたが、どこか浮き足立った様子の立花専務にスマートフォンのディスプレイを向けられてさすがに箸を止めた。
「姉のことはと、妹のくれはだ。双子だからよく似ているだろう?」
……双子?
あまり身近に聞かないその単語に、俄然興味がわいて画面を覗き込む。
映し出されていたのは、1枚の写真だ。親戚同士の集まりだろうか。どこか料亭や旅館のような和室で、10名ほどが前後2列に並んで写っている。
「……うーん?」
つい、そんな声を漏らしてしまう。
無理もない。人物ひとりひとりの顔があまり大きく表示されていないし、しかも少しピントがずれている。
このふたりかな?というのは背格好でなんとなく察せたが、肝心の顔立ちはよくわからないままだ。