かりそめお見合い事情~身代わりのはずが、艶夜に心も体も奪われました~
「少なくとも私は、奥宮さんにとってかなり印象は良くなかったと思う……くれはの名前で会っておいて、申し訳ないんだけど」
だって。会って早々あんな生意気で失礼な態度を取ったうえ、別れ際も逃げるように帰ってきてしまった。
だから絶対にこのお話は、奥宮さんの方からお断りしてくれると思い込んでいた。
なのに奥宮さんは、話を進めたいと──つまり、くれはのフリをした私と、結婚したいと思ってくれたっていうの?
……ダメだ、まったく意味がわからない……。
「つまり瀬古さんも奥宮さんも、結構な変わり者だっていうことね。ああもう、どうしようか……」
なんだか雑に話をまとめたくれはが、テーブルに置いた紙片を指先でコツコツとつつく。
私と同じく父から渡されたその紙には、奥宮さんの電話番号が書いてあるはずだ。無意識に、ぼんやりそれを眺めていた。
その視線に目敏く気づいたくれはが、こちらの顔を覗き込むように身を乗り出してくる。
「もしかしてことは、結構奥宮さんのこと気に入ってるの? 結婚、したいと思った?」
「え!? まさかそんな、私は全然!!」
唐突でストレートな問いに、慌ててぶんぶんと首と手のひらを左右に振って答えた。
だって。会って早々あんな生意気で失礼な態度を取ったうえ、別れ際も逃げるように帰ってきてしまった。
だから絶対にこのお話は、奥宮さんの方からお断りしてくれると思い込んでいた。
なのに奥宮さんは、話を進めたいと──つまり、くれはのフリをした私と、結婚したいと思ってくれたっていうの?
……ダメだ、まったく意味がわからない……。
「つまり瀬古さんも奥宮さんも、結構な変わり者だっていうことね。ああもう、どうしようか……」
なんだか雑に話をまとめたくれはが、テーブルに置いた紙片を指先でコツコツとつつく。
私と同じく父から渡されたその紙には、奥宮さんの電話番号が書いてあるはずだ。無意識に、ぼんやりそれを眺めていた。
その視線に目敏く気づいたくれはが、こちらの顔を覗き込むように身を乗り出してくる。
「もしかしてことは、結構奥宮さんのこと気に入ってるの? 結婚、したいと思った?」
「え!? まさかそんな、私は全然!!」
唐突でストレートな問いに、慌ててぶんぶんと首と手のひらを左右に振って答えた。