かりそめお見合い事情~身代わりのはずが、艶夜に心も体も奪われました~
『ずっと、嘘をついていました。私は立花くれはじゃなくて、姉の立花ことはなんです』
意を決した私の告白に、奥宮さんが目を見開く。
私は視線を逸らさないよう、必死でその整った顔を見つめながら続けた。
『本当に、すみませんでした。何度も謝らなければと思いながら、今日までずっと、言えずにいて……』
胸の前で組んだ手を、ぎゅっと握りしめる。
そうして浅ましくも、彼に恋したこの想いだけは本物なのだと伝えようとして──けれどもその言葉は、彼自身によって遮られる。
『そうか。きみは俺を騙して、ずっと笑っていたんだな』
唸るように漏らした奥宮さんは今まで見たことのない、とても険しくて憎悪すら感じる顔をしていた。
向けられたその表情と低い声に、私は絶望的な気持ちになる。
『ちが……』
『もういい。これ以上話すことなんてないし、顔も見たくない』
吐き捨てて、奥宮さんがくるりと背を向けた。
呆然と、その背中を眺める。
『奥宮さん……』
『消えてくれ。もう二度と、俺の前に現れるな』
──そんな。
弁解もできない。これ以上、謝ることもできない。
……この恋心を、伝えられない。
全部、壊れてしまった。私が、壊したのだ。
両目からあふれた涙が、音もなく頬をつたう。
まるでブレーカーがバチンと落ちたかのように、目の前が真っ暗になった。
意を決した私の告白に、奥宮さんが目を見開く。
私は視線を逸らさないよう、必死でその整った顔を見つめながら続けた。
『本当に、すみませんでした。何度も謝らなければと思いながら、今日までずっと、言えずにいて……』
胸の前で組んだ手を、ぎゅっと握りしめる。
そうして浅ましくも、彼に恋したこの想いだけは本物なのだと伝えようとして──けれどもその言葉は、彼自身によって遮られる。
『そうか。きみは俺を騙して、ずっと笑っていたんだな』
唸るように漏らした奥宮さんは今まで見たことのない、とても険しくて憎悪すら感じる顔をしていた。
向けられたその表情と低い声に、私は絶望的な気持ちになる。
『ちが……』
『もういい。これ以上話すことなんてないし、顔も見たくない』
吐き捨てて、奥宮さんがくるりと背を向けた。
呆然と、その背中を眺める。
『奥宮さん……』
『消えてくれ。もう二度と、俺の前に現れるな』
──そんな。
弁解もできない。これ以上、謝ることもできない。
……この恋心を、伝えられない。
全部、壊れてしまった。私が、壊したのだ。
両目からあふれた涙が、音もなく頬をつたう。
まるでブレーカーがバチンと落ちたかのように、目の前が真っ暗になった。