お行儀よく沈んでよ
海が所有物かのように光を反射、風は生温いまま。
アスファルトは陽炎。
夏の手前。それでもあつくて苦しくて。
でも肺呼吸でも構わない。
来世エラ呼吸ができるなら好きになれそうだけど、私まだ肺呼吸だから。
ね、残念。
あつさだけは手放さない。この重苦しい恋情を、雁字搦めをほどいて、楽に勝手にあいつを嫌う。
苦しいのは嫌。しんどい。呼吸面倒くさい。
頑張らなくても。それでもいいから。
「保科、落としたら拳骨だから」
「海以外には落とさないよ」
素直にきみを恋うことにした。
太陽はまだ高い。