お行儀よく沈んでよ
「つーかマジで何? この集団? 火曜サスペンス劇場ごっこでもしてんの?」
「違うよ。なんか……、根性だめし、みたいな感じ? って張り切ってんの、あいつら」
「は? いつの時代の頭悪ヤンキーですか?」
はんぶんくらい残っていたアイスを含もうとしていると、横入りした沙優ちゃんにぜんぶ持っていかれる。
沙優ちゃんの他にも女子はいたけど、大抵は男子。しかも同じクラスの。スクールカースト上層部。
へえ、面倒臭いですね。きっとみんな暑さにやられちゃったんだ。
かく言う私もだ。脳内大喜利状態、そろそろ容量オーバー。
なよなよしい巫山戯合いをしている男子共を軽く見やっていると、可愛い女子たちが私と沙優の方に駆けてきた。
「あ〜、アイス食べてる。いいなあ」
「あたしにひとくち頂戴よ」
「パピコ残ってるからあげるね。喧嘩すんなよハニーたち」
「やだイケメンっ」
惜しいが喧嘩を防ぐためだとコンビニの袋を女子たちに渡して、できないウインクを決めた。うん、できてない。しかもスルーされる。
「て、珍しいよね。アンタら日焼けが死ぬほど嫌いなくせに火サスごっこはするの?」
「え、火サスごっこ? 意味わからん」