微温的ストレイシープ

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「廉士はなんでこの世界にいるの?」



以前、榛名と同じようなことを当麻に聞かれたことがある。


どいつもこいつも……そんなに人の出生が気になるわけ。




「わっかんねぇよ」



本当に。わからない。



ただ、俺はあいつらを反面教師にできなかった。



あんな親の元で育ったら誰だってこうなる、

そう言えば当麻はぐっと何かを言いたそうな顔をした。




「安心しろ。ここにいることを後悔なんかしてない」

「……廉士」


「俺の居場所はここだけだっての」




ふと自分の手のひらを見る。



そこには一生消えない無数の跡が、まるで死してなお、俺を監視するかのように残っていた。



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