微温的ストレイシープ
「じゅ、じゅうななです!」
「は?」
廉士さんが止まった。
わたしは会話が成立していることに浮かれていたんだろう。
なんの考えもなく、小走りで隣に並んだ。
「わたし、17歳です。さっき思いだしたんです」
嘘をついているわけじゃない。
本当についさっき思いだしたんだ。
なんで思い出せたのかはわからなかったけど、わたしの頭の中はまるで白紙の解答用紙のように思えた。
まだ名前しか書けてなかった用紙の1問目が埋まったような。
「なんだ、俺の一個下かよ。全然見えねーな。ガキっぽいし」
一個しか違わないのに、ガキって言われた。
……あれ?
ということは、
「えっ!廉士さん……」
「あ?」
めちゃくちゃすごまれる。
そんななか、「未成年なのに煙草吸ってる!」と陽気に指をさすことはできなかった。
「……廉士さんは大人っぽいですね」
「いいから、黙ってついてこい」
そしてふたたび歩き始める。