微温的ストレイシープ


身を乗り出せば、窓枠に残っていたガラスの破片が手に刺さった。

それでも、気にも留めず窓枠に手をかける。




「廉士さん!そこにいるんですか!?」

「榛名、飛べ!」



さっきまでは聞こえなかった声が今ははっきりと聞こえてくる。

それだけで涙が出そうになった。


泣いてる場合じゃない。

わたしは必死に声を張り上げる。




「でも、なにも見えないんです!暗くて下が見えない!」

「俺は見えてる!受け止めてやるから早く来い!」

「え、いや、むりですって!や、やだ、できないっ」



いやいやと首を振る。





「お前なら大丈夫だ……灯里!」


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