微温的ストレイシープ
「う。あっ、やっぱむりむりむり……ひゃああああっ!」
せっかくカッコいい決め台詞を言えたのに。
内臓がふわりと浮くような感覚に思わず叫ぶ。
一寸先はたしかに闇だったかもしれない。
どう転ぶかもわからない、少しの予想もつかない闇。
だけど……その先に待っているのは
「ほら、大丈夫だったろ?」
まぎれもなく、光だった。
ようやく見えたのは廉士さんの柔らかな顔で。
あっと思う間もなく、わたしはその胸に抱き留められたのだった。