微温的ストレイシープ
「おい。誰かこの女を持て。いったん連れて帰るぞ」
「……、っ!や、やめて!わたしから離れて!!」
「なんだ、いきなり抵抗してきやがる」
忘れていたわけではない。
それでも少しなら問題はないと高を括っていたから。
逃げようとすればするほど、身体ごと地面に押さえつけられる。
「おねがい、これ以上近づかないで。じゃないとあなたたちが」
「それで、はいわかりました、って解放するほど俺たちもバカじゃないんだよ」
「っちが……!」
そうじゃないのに。
本当に、わたしと一緒にいたら危険なのに。
もういやなんだよ。
いくらあなたたちでも、巻き込みたくない。
最後の力を振り絞った。
──────ドンッ、
「ちっ……おい!女が逃げたぞ!はやく追え!!」