微温的ストレイシープ
ちょこまかと逃げ回っているのはわたしのほうだ。
逃げてばかりで、人に頼ってばかりで。
最悪なのは、最低なのはわたし。
「……守られてばっかじゃん」
おかしな能力を持って生まれてきたわたしを世間から守ってくれていたのは、まだ生きている頃の両親だった。
もしかしたらお兄ちゃんたちも、家に閉じ込めるというやり方で守っていてくれていたのかもしれない。
そしてこの夜、ずっとわたしを守ってくれていたのはあの人だった。
そうだ。わたしはだれかが自分の問題を背負って、救ってくれるのを待っていた。
自分ひとりだけじゃ抱えられないから、って。
だれかに助けてもらうのを待ってばかりだったんだ。