微温的ストレイシープ
ほんとうに最悪だよ。生きてて意味ある?
死んだほうがいいんじゃないの。
だってわたしが生きてていいことなんて一つもないよ。
この世界にとって、マイナスの存在でしかないのに。
こうして体力がないのはずっと監禁されていたからなんだ。
どうでもいい知識だけが身についているのは、ずっと本を読んでばかりだったから。
足を前に踏み出すたびに、横腹がズキズキ痛む。
呼吸の仕方もわからなくなってきた。
でも……
「っ、はあ、っまだ……こんなの、まだ足りないっ……!」
あの人が受けた傷に比べたら、苦しみに比べたらこんなのじゃ足りない。
自分がすごく情けなくて。
でも、……いや、だから。
最後くらいは誰かの役に立ちたかった。
あとのことはまたあとで考える。
いまはとにかく、シュトリの人たちをあの人から少しでも遠ざけようとした。