微温的ストレイシープ
「……なんで、」
「いや、なんではこっちの台詞なんだけど。途中でいなくなんなよビビるから」
かるく頭を小突かれたけど、わたしは目の前の人物を見つめることしかできなかった。
まさか、走り去ったわたしをここまで追いかけてきてくれたの?
反射的にその足元に目を向けた。
しっかりと地面のうえに立っている。
ぱっと見では怪我をしていることなんてわからないくらい。
「おまえは本当に……出会ったときからずっと自分勝手だよ」
「へ、」
「散々巻き込んどいて今さらしおらしくなってんじゃねぇ。そっちのがハラ立つ」
「ご、ごめんなさい……?」
なんで怒られているのかわからなかったけど、とりあえず謝った。
そのうちシュトリの人たちが追いついて。
周りを囲まれているのに、廉士さんはすこしも焦った様子はみせなかった。