微温的ストレイシープ


「いかせるかよッ!」

「あんたはっ……ここにいろッ!」


ぐわっと襲いかかってきたシュトリの総長を、当麻さんが押し止めてくれる。


すばやくかけた足技は、いつか、廉士さんがしていたそれと同じだった。




「ぐっ……!」



派手な音をたてて総長が転ぶ。





「ここは通さない。やっとうちの総長が希望を見いだしたんだ。邪魔はさせないよ」




きっと、長い間を一緒に過ごしてきたに違いなかった。

本当は行ってほしくないと思っているはずなのに。




「じゃあね、榛名さん。そいつを頼むよ」


廉士さんに手をひかれ、走り去る寸前。


見えたのは……

すこしだけさみしそうな、当麻さんの笑顔だった。










「反面教師、ちゃんとできてるじゃん」



──────悔いなく生きろよ、廉士。






< 193 / 211 >

この作品をシェア

pagetop