微温的ストレイシープ
「いかせるかよッ!」
「あんたはっ……ここにいろッ!」
ぐわっと襲いかかってきたシュトリの総長を、当麻さんが押し止めてくれる。
すばやくかけた足技は、いつか、廉士さんがしていたそれと同じだった。
「ぐっ……!」
派手な音をたてて総長が転ぶ。
「ここは通さない。やっとうちの総長が希望を見いだしたんだ。邪魔はさせないよ」
きっと、長い間を一緒に過ごしてきたに違いなかった。
本当は行ってほしくないと思っているはずなのに。
「じゃあね、榛名さん。そいつを頼むよ」
廉士さんに手をひかれ、走り去る寸前。
見えたのは……
すこしだけさみしそうな、当麻さんの笑顔だった。
「反面教師、ちゃんとできてるじゃん」
──────悔いなく生きろよ、廉士。