微温的ストレイシープ


そんな、機内には乗せていけない危険物を空港にもちこむような言い方。

いや、それよりもずっと酷いものだけど。



抱き寄せられる。




「……廉士さんの幸せも安全も保証できませんよ。待っているのは破滅一択です」



最後の抵抗のつもりだった。

自戒にも近い、問いかけ。


だから。




「いーよ、それでも」


そうまで言われたらもう、何も言うことなんてなかった。

振り払う理由も、そうしたいと思う気持ちも。





「お前はなにも気にしなくていい。ずっと俺がそばにいてやる。たとえ世界を敵に回しても守ってやるから。だから、」









──────もう、泣くな。




あんたは笑ってるほうがずっといい。



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