微温的ストレイシープ


「そういえば廉士さん、いっぱい怪我してますよね」

「こっちはこんなこと日常茶飯事なんだよ。総長なめんな」

「もう総長は当麻さんなんじゃないですか」

「馬鹿言え。マルバスのトップは俺のままだっての」



下克上方式。

決闘を挑み、現総長に勝ったらその座を奪えるという。




「せ、戦国……!」

「北と南、どっちがいい」

「へ?」



話が急に変わる。


なんのことかわからずに首をかしげるわたしの頭をぐしゃぐしゃと撫でられた。

髪がボサボサになるのはこれのせいでもあると思うんだけど、どうなんだろう。




「世界中を旅したいんだろ?忘れたとは言わせねーぞ」

「あ……」






『いつか世界中を旅してみたいなぁ』

『勝手にすれば』

『廉士さんと一緒に、』

『行かない』




あのときはたしか即答されたはずだ。


そういえば、わたしのことを好きになる人は物好きだとも言っていた。


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