微温的ストレイシープ
廉士さんの後ろからおそるおそるのぞき込んだその部屋は、さっきの空間よりもずっと広くて。
ふわりと顔にかかった暖房がわたしの前髪を持ちあげた。
部屋はすごく殺風景で、家具らしい家具はソファと中心に置かれたガラスのテーブルだけ。
そのテーブルの上に山をつくっているのは
赤に染まる、紙の束────
「あ、廉士おかえり。7」
「どこ行ってたんだよ。8」
「逃げたのかと思っちゃった。9」
「ダウト」
「残念9でーす」
「わはは、大量だなぁシノブぅ~」
……わたしは。
わたしいま、なにを目の当たりにしているんだろう。
和気あいあいとカードゲームをしている男の人たち。
机の中心に山積していた赤い模様のトランプを、1人のところへみんなで押しやっている。