微温的ストレイシープ
ちらりと隣を見上げれば、廉士さんはこれまでにないほど真顔だった。
トランプから顔をあげた1人が、廉士さんを見て……その後ろにいる私に気づいた。
一瞬だけ向けられる、射るような視線にからだが固まる。
けど、すぐにふっと緩められて。
「こんばんは、お嬢さん」
……、へ?
てっきりキツい言葉をかけられるかと思っていたから、身構えていたぶん拍子抜けしてしまう。
その人の言葉に、残りの人たちもみんな視線をあげた。
「あ、女の子だ。レンレン、なんか趣味変わった?」
そう言ったのは、周りの人よりもすこし小柄な男の人。
ダウトとコールされた人だった。