微温的ストレイシープ
「ちげーよ。誰がこんなきったねぇ奴」
廉士さんはそう言って1人の男に近づいていった。
わたしに挨拶をしてくれた人だ。
「当麻」
「呼び出して悪いね、廉士。お楽しみ中だった?」
「違うっつってんだろ。それで、どうなってる」
「ああ、シュトリで間違いないよ。今夜は長い夜になりそうだ」
まだ何か話していたけど、それ以上のことは聞こえなかった。
みんなの輪から離れていく廉士さんと当麻さん。
わたしが入り口付近に突っ立ったままでいると、いつの間にか周りは完全包囲されていた。
「っ、」
びたんと背をドアにくっつけ、最大まで距離をとる。
座っていたときはわからなかったけど、こうして近くまでこられたらみんな背が高くて。