微温的ストレイシープ


「ちげーよ。誰がこんなきったねぇ奴」



廉士さんはそう言って1人の男に近づいていった。


わたしに挨拶をしてくれた人だ。




当麻(とうま)

「呼び出して悪いね、廉士。お楽しみ中だった?」

「違うっつってんだろ。それで、どうなってる」

「ああ、シュトリで間違いないよ。今夜は長い夜になりそうだ」



まだ何か話していたけど、それ以上のことは聞こえなかった。


みんなの輪から離れていく廉士さんと当麻さん。




わたしが入り口付近に突っ立ったままでいると、いつの間にか周りは完全包囲されていた。




「っ、」


びたんと背をドアにくっつけ、最大まで距離をとる。


座っていたときはわからなかったけど、こうして近くまでこられたらみんな背が高くて。


< 25 / 211 >

この作品をシェア

pagetop