微温的ストレイシープ
わたしのずっと頭の上から、好き勝手な声が飛び交う。
名前を聞かれたり、いろんな角度から見られたり。
口をぎゅっと結んでひたすら黙っていたけど、次の発言には我慢できなかった。
「なんか……家出して三日後に帰ってきたキャバリアみたい」
ふっと。
どこからか鼻で笑うような音がした。
「そ、そんなに言わなくても……」
「あ、口きけるんじゃん」
逃げるのに必死で身なりなんて気にしてなくて。
こうして明るい場所で見ると、たしかにわたしはボロボロだった。