微温的ストレイシープ
ソファから立ち上がろうとした虎牙さんが、ぐっと眉根を寄せる。
「大丈夫ですか?痛みます、よね。ごめんなさい、わたしが上に乗っちゃったせいで」
たぶん、ちょうどお腹の上に乗っちゃったんだ。
その証拠に、さっきまで真っ白だった包帯の1カ所に、じわりと赤が浮き出てきている。
おもわず手を伸ばしかけたけど、気安に触れていいのか迷ってしまった。
虎牙さんはそんなわたしの腕をつかんで、引き寄せる。
「え、虎牙さん……?」
「なんか、頭いてぇ」
頭?
すぐ近くにある彼の顔は、たしかにさっきよりも辛そうだった。