微温的ストレイシープ
「維月がなんて説明したのかはわからねーけど……」
わたしでも理解できるように、ゆっくり話してくれる。
意外にも廉士さんの説明はわかりやすかった。
つまり、こういうことだ。
この世界には名の知れた72の暴走族がいる。
序列でいうとマルバスは5番、シュトリが12番なんだって。
この街の路地裏ラビリンス(って、わたしは勝手に呼んでる)は闇の世界でもそれなりに有名で。
マルバスやシュトリのほかにも、いくつかの暴走族がたまっているらしい。
ほとんど表だった動きはないけど裏でいろいろと画策していて、
このあたりを治めるマルバスの総長……つまり廉士さんは誰よりも狙われる危険な立場。
夜道で油断していたらあっという間にやられるんだとか。
「その、やられるって……」
「もちろん、殺されるって意味だよ」