微温的ストレイシープ
……嘘でしょ。
その人は。
その人たちは。
「へへ、お嬢ちゃん。捕まえたぜ」
さっきまでわたしを追いかけていた、柄の悪い男たちだった。
なんで、彼が倒してくれたはずだったのに。
さっきまで地面に伸びていたのに。
もう、逃げられる余裕なんてなかった。
立ち上がることすら難しいこの状況で、絶体絶命としかいいようがない。
「あ、あなたたちは誰なんですかっ……わたしをどうするつもり、ですかっ……!」
男たちはニヤつくばかりで、誰も答えようとはしない。
そのかわり、にゅっと伸びてきた手に荒々しく腕をつかまれる。
「いい匂いだなぁ。んん?」
「な、なん……っ、」
つかまれた部分からざわりと鳥肌が立った。