微温的ストレイシープ


……嘘でしょ。


その人は。

その人たちは。





「へへ、お嬢ちゃん。捕まえたぜ」



さっきまでわたしを追いかけていた、柄の悪い男たちだった。



なんで、彼が倒してくれたはずだったのに。

さっきまで地面に伸びていたのに。



もう、逃げられる余裕なんてなかった。



立ち上がることすら難しいこの状況で、絶体絶命としかいいようがない。





「あ、あなたたちは誰なんですかっ……わたしをどうするつもり、ですかっ……!」



男たちはニヤつくばかりで、誰も答えようとはしない。


そのかわり、にゅっと伸びてきた手に荒々しく腕をつかまれる。



「いい匂いだなぁ。んん?」

「な、なん……っ、」


つかまれた部分からざわりと鳥肌が立った。


< 8 / 211 >

この作品をシェア

pagetop